※本記事は、公式サイト・出版社・ニュースサイトで公開されている情報をもとにまとめています。推測にあたる部分は、その旨を書いています。
オーバーロードのアルベドは、Web版には存在しなかった人物です。コミックナタリーの対談で「幼女戦記」のカルロ・ゼンさんが「小説になったときにWeb版には存在しなかったアルベドが追加されたのが一番びっくりしました。あれは物語の潤滑油的な存在が欲しかったからですか?」と尋ね、作者の丸山くがねさんはこう答えました。「そんな感じ。元のままだと主人公が動かない。しょうがないな……みたいな流れで入れたんです」。
📘 この記事でわかること
- アルベドがWeb版にいなかったこと
- 追加した理由
- アニメ3期が小説のどこまでか
- 作者が完結までに考えていた冊数
- 骸骨を主人公にしたことについて
- 作者がアニメ化にどう向き合っているか
📈 数字で見るオーバーロード
アルベドは何のために足されたのか
🔑 主人公を動かすため
- Web版にアルベドは存在しませんでした。書籍化のときに追加された人物です。
- 理由は「元のままだと主人公が動かない」。丸山くがねさん本人の説明です。
- 「しょうがないな……みたいな流れで入れたんです」。積極的な追加ではなかったという言い方になっています。
この指摘をしたのは「幼女戦記」の作者・カルロ・ゼンさんで、「物語の潤滑油的な存在が欲しかったからですか?」と尋ねています。丸山さんの答えが「そんな感じ」でした。
作者が語ったこと
『オーバーロード』は丸山くがねさんが2010年に小説投稿サイトへ投稿し、書籍1巻が2012年にエンターブレイン(現KADOKAWA)から刊行された作品です。アニメは2015年7月に第1期が始まりました。
コミックナタリーは2018年、丸山くがねさんと「幼女戦記」のカルロ・ゼンさんの対談を掲載しました(取材・文/はるのおと)。2人は同じ小説投稿サイト・Arcadiaの出身で、レーベルも担当編集も同じだったと語られています。ここでの発言を見ていきます。
「元のままだと主人公が動かない」
Web版と書籍版の違いについて、カルロ・ゼンさんが尋ねた場面です。
「そんな感じ。元のままだと主人公が動かない。しょうがないな……みたいな流れで入れたんです。」
カルロ・ゼンさんの質問はこうでした。「「オーバーロード」は小説になったときにWeb版には存在しなかったアルベドが追加されたのが一番びっくりしました。あれは物語の潤滑油的な存在が欲しかったからですか?」
「元のままだと主人公が動かない」。アインズは死の支配者として君臨する側です。自分から動く理由が作りにくい。そこに動かす存在が必要だったという説明になります。
「しょうがないな……みたいな流れで入れたんです」。構想を練って足したのではなく、必要に迫られたという言い方です。
同じ対談で丸山さんは、なぜオリジナル作品を書いたのかについても答えています。「自分の理想とする作品がなかったから書いた、ということです」。
「3期の最終話は小説で言う9巻の終わり」
TVアニメ「オーバーロードIII」が最終話を迎える直前の対談でした。丸山さんが到達地点を明言しています。
「KADOKAWAの誰かがね、2期を制作するという話をされたときに「『オーバーロードII』は2クールやります」って言ってくれて、俺は笑っちゃったんだよね。無理だろうって。でも、よく3クールもやってくれました。感謝。3期の最終話は小説で言う9巻の終わりなので、それ以降は原作で読んでくれればうれしいです。」
「3期の最終話は小説で言う9巻の終わり」。アニメがどこまで描いたかを作者が数字で示しています。原作に移る目安になります。
「『オーバーロードII』は2クールやります」って言ってくれて、俺は笑っちゃったんだよね。無理だろうって。2期の企画を聞いたときの反応です。
そして「でも、よく3クールもやってくれました。感謝」。作者が分量を疑っていたという記録になっています。
「あと5冊で終わらせる。最長5冊!」
対談の最後、今後の執筆活動への意気込みを聞かれた答えです。2018年時点の発言です。
「「オーバーロード」をあと5冊で終わらせる。最長5冊! 「最長」を強調しておいてください。」
「「最長」を強調しておいてください」。上限としての5冊だという念押しです。
続けて「俺は残り5冊だから、あと3年か、4年かな」。これに対してカルロ・ゼンさんが指摘しました。「2013年に「あと2年ぐらいで終わる」とか言っていた人が何を言っているんですか」。
丸山さんの返答は「本当に終わらないんだよ。ペースが鈍っちゃっていけないね。1年に1冊ペースはまずいよ」。刊行ペースを自分で問題にしています。
なおこの発言は2018年のものです。その後どうなったかは本記事では確認していません。
「あれがあるからこそ「オーバーロード」」
アニメで描かれた場面について、カルロ・ゼンさんが驚いたと述べた場面です。
「重要なことでしょ。あれがあるからこそ「オーバーロード」。あそこを入れなきゃ「オーバーロード」じゃない。」
カルロ・ゼンさんの発言はこうです。「それだけ多くの人が関わる現場で、「オーバーロード」はよくリザードマンの交尾を見てアインズが唖然とするシーンをやったなと思います(笑)」。
それに対する丸山さんの答えが「あそこを入れなきゃ「オーバーロード」じゃない」。作品の同一性にかかわる場面だという主張です。
アニメ化への姿勢は別の場所でこう述べています。「アニメはアニメ、書籍は書籍という覚悟で、好きにやってほしいと思ってこれまでやってきていますから」「アニメのおかげで書籍がこれだけ売れたんだから感謝しています」。
一方で、アニメのアインズが「少しがっちりしている」と指摘されると「あれ以上線を増やしたらアニメの制作現場が死んじゃうので(笑)。so-binさんの絵を完全に動かすことは誰にもできないんです」と答えています。
「オーバーロード」の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | オーバーロード |
| 作者 | 丸山くがね(旧ペンネーム:むちむちぷりりん) |
| キャラクター原案 | so-bin |
| 投稿開始 | 2010年(小説投稿サイト・Arcadia) |
| 書籍1巻 | 2012年(エンターブレイン/現KADOKAWA) |
| 主人公 | アインズ・ウール・ゴウン |
| TVアニメ第1期 | 2015年7月放送開始 |
| TVアニメ第3期 | 2018年、第13話で最終話 |
| 3期の到達点 | 小説9巻の終わり(作者本人談) |
| コミカライズ | 深山フギン版は月刊コンプエース(KADOKAWA)で連載され、2023年12月の19巻で「一部完」。続編『オーバーロード<新>世界編』(作画 Matsuki)は2024年2月からカドコミで連載 |
| 劇場版 | 2024年に公開 |
| 書籍化での追加人物 | アルベド(Web版には存在しなかった) |
Web版と書籍版の違いとして語られたこと
対談で具体的に挙がったのは1点です。
コミックナタリーの対談で語られた内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Web版の状況 | アルベドは存在しなかった |
| 書籍版 | アルベドが追加された |
| 指摘した人 | カルロ・ゼン(「幼女戦記」作者) |
| 指摘の言葉 | 「Web版には存在しなかったアルベドが追加されたのが一番びっくりしました」 |
| 推測された理由 | 「物語の潤滑油的な存在が欲しかったからですか?」 |
| 丸山の回答 | 「そんな感じ。元のままだと主人公が動かない。しょうがないな……みたいな流れで入れたんです」 |
カルロ・ゼンさんが「一番びっくりした」と言っている点です。同じ小説投稿サイト出身の作家が、Web版を読んでいたからこその指摘になります。
丸山さんは理由を否定していません。「そんな感じ」で受けたうえで「元のままだと主人公が動かない」と補足しました。
本記事ではこれ以外のWeb版と書籍版の差異は扱っていません。対談で語られたのはアルベドの件だけです。
作者が語った作品づくりの考え
オリジナル作品を書いた理由から、表紙についての願望まで。
コミックナタリーの対談での発言です。
| 話題 | 丸山くがねの発言 |
|---|---|
| オリジナルを書いた理由 | 「自分の理想とする作品がなかったから書いた、ということです」 |
| 読者としての動機 | 「自分で読みたいから書いただけだよね」 |
| 賞を獲った作家について | 「話を聞いていて、なんでそんなに考えているんだろうって思うもん。あれが本当に正しい作家なんですよね、まさに職業作家」 |
| 投稿サイトの空気 | 「Arcadiaは地獄でしたね。地獄の一丁目(笑)」 |
| “勘違い系”について | 「我々がそういう“勘違い系”が好きだからですね」 |
| 二次創作について | 「二次創作が増えるのはうれしいね」 |
| コンプエースの表紙 | 「アニメ合わせで「オーバーロード」のリザードマンが表紙を飾るのが夢だったんだよね。でも無理だった(笑)」 |
| その理由 | 「変わったものが見てみたいの。伝説を作りたかった。歴代の表紙をずらっと並べたときに、1つだけ変なのがあったらいいじゃん」 |
「自分の理想とする作品がなかったから書いた」。オリジナル作品を選んだ理由です。カルロ・ゼンさんも「僕も好きなものを書いた、です(笑)」と同じ趣旨を述べています。
リザードマンを雑誌の表紙にしたかったという話は、カルロ・ゼンさんの「やっぱり丸山先生、人間ならざるもの好きじゃないですか」という指摘を引き出しました。
そして理由が「歴代の表紙をずらっと並べたときに、1つだけ変なのがあったらいいじゃん」。単発の絵ではなく、並べたときの効果を考えています。
「骸骨が主人公」について交わされたやりとり
お互いの作品の印象を聞かれた場面です。主人公の設定について応酬があります。
コミックナタリーの対談での発言です。
| 発言者 | 発言 |
|---|---|
| カルロ・ゼン | 「僕は「オーバーロード」を読んだときに「王道を狙っていないんだ」と驚いたのを覚えています。骸骨が主人公っておかしくないですか? 丸山先生は人ならざるものが好きなんですよね」 |
| 丸山くがね | 「幼女が主人公っておかしくないですか?」 |
| カルロ・ゼン | 「幼女が主人公は王道ですよ」 |
| 丸山くがね | 「言われてみるとそうか、悔しいな」 |
| カルロ・ゼン | 「異世界で幼女が戦うってよくあるじゃないですか」 |
カルロ・ゼンさんは「王道を狙っていないんだ」と驚いたと述べています。骸骨を主人公にすることが、定型から外れているという見方です。
丸山さんは「幼女が主人公っておかしくないですか?」と返しましたが、カルロさんに「王道ですよ」と言われて「悔しいな」。
つまり2人のあいだでは、骸骨が主人公であることのほうが外れていると合意されている形になっています。
対談で語られた出版とジャンルの話
レーベルの話とジャンルの話が出ています。
コミックナタリーの対談での発言です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 旧エンターブレインのホビー書籍編集部の作品として丸山が挙げたもの | 「オーバーロード」「幼女戦記」「ニンジャスレイヤー」「ログ・ホライズン」 |
| 丸山の疑問 | 「「幼女戦記」のファンと「オーバーロード」のファンって重なっていると思う?」 |
| KADOKAWA担当者の回答 | 「めちゃくちゃ重なってると思います」 |
| 丸山の反応 | 「嘘? 重なってる?」 |
| カルロの表現 | 「旧エンターブレインは、みんなが集まるハブ空港じゃないんですよね。ハブ空港とハブ空港の間にある連結点くらいの感じ(笑)」 |
| コミカライズの掲載誌 | 「オーバーロード」と「幼女戦記」がともに月刊コンプエース(KADOKAWA) |
| 丸山が挙げたWeb小説の流行 | 「今のなろうはざまぁ系が流行っていて、あとは悪役令嬢ものか」 |
| 丸山が名前を挙げた作品 | 「悪役令嬢ものだったら「謙虚、堅実をモットーに生きております!」がトップだよね」 |
作者自身がファン層の重なりを疑っていました。「嘘? 重なってる?」という反応です。
丸山さんは他作品のWeb小説も読んでいると明かし、「「謙虚、堅実」は文章のレベルが高いんですよ。言葉の使い方が間違っていないし、物事をよく知っていてすごいよね」と述べています。
コミカライズが同じ月刊コンプエースであることも対談で触れられました。小説のレーベルも漫画の掲載誌も同じという関係です。
ここから先は筆者の見方です
ここから先は公表情報からの筆者の解釈です。関係者の説明ではありません。
「主人公が動かない」という問題
丸山さんはアルベドを足した理由を「元のままだと主人公が動かない」と説明しました。この問題について考えます。
筆者の見方では、最強の主人公を置いたことの副作用だと思います。アインズは死の支配者として君臨する立場で、自分から危険に踏み出す理由がありません。
「異世界ものの常識を覆した」と言われる部分は、主人公が最初から最強であることです。その設定が物語を止めるほうに働く。だから動かす存在が必要になった。ここは筆者の整理です。
9巻という区切り
丸山さんは「3期の最終話は小説で言う9巻の終わり」「それ以降は原作で読んでくれればうれしいです」と述べました。
筆者の見方では、これは原作へ移る案内として有用な情報です。アニメを3期まで見た人は、10巻から読み始められます。
ただしこの発言は2018年のものです。その後のアニメ展開(2024年の劇場版など)がどこを扱ったかは本記事では確認していません。最新の対応関係は別に確認してください。
「最長5冊」について
2018年の対談で丸山さんは「あと5冊で終わらせる。最長5冊!」と述べ、「あと3年か、4年かな」と見込んでいました。
この発言の前に、カルロ・ゼンさんが「2013年に「あと2年ぐらいで終わる」とか言っていた人が何を言っているんですか」と指摘しています。2013年時点でも同じことを言っていたということです。
丸山さん自身も「本当に終わらないんだよ。ペースが鈍っちゃっていけないね。1年に1冊ペースはまずいよ」と認めています。本記事では2018年以降の刊行状況を確認していません。完結したかどうかは出版社の情報でご確認ください。
どこで読める?
小説「オーバーロード」はKADOKAWAから刊行されています。書籍1巻は2012年、エンターブレイン(現KADOKAWA)刊。
TVアニメは2015年7月に第1期が放送され、2018年に第3期が全13話で終わりました。作者によれば3期の最終話は小説9巻の終わりにあたります。
コミカライズは、深山フギン作画版が月刊コンプエース(KADOKAWA)で連載され、2023年12月発売の19巻で“一部完”となりました(電撃オンライン)。続編『オーバーロード<新>世界編』(作画 Matsuki)は2024年2月からカドコミで連載されています(カドコミ)。
劇場版は2024年に公開されました。配信先は時期によって変わるため確認してください。
よくある質問
アルベドはWeb版にいなかったの?
いませんでした。書籍化のときに追加された人物です。カルロ・ゼンさんが対談で「Web版には存在しなかったアルベドが追加されたのが一番びっくりしました」と指摘しています。
なぜアルベドを足したの?
作者の丸山くがねさんは「元のままだと主人公が動かない。しょうがないな……みたいな流れで入れたんです」と説明しています。
アニメ3期は小説のどこまで?
丸山さんは「3期の最終話は小説で言う9巻の終わりなので、それ以降は原作で読んでくれればうれしいです」と述べています。
作者は何冊で終わらせる予定だった?
2018年の対談で「「オーバーロード」をあと5冊で終わらせる。最長5冊!」と述べています。ただし2013年には「あと2年ぐらいで終わる」と言っていたとカルロ・ゼンさんに指摘されています。
なぜ骸骨を主人公にした?
対談で丸山さんはオリジナル作品を書いた理由を「自分の理想とする作品がなかったから書いた」と説明しています。カルロ・ゼンさんは「王道を狙っていないんだ」と驚いたと述べました。
作者はアニメ化にどう関わっている?
「アニメはアニメ、書籍は書籍という覚悟で、好きにやってほしいと思ってこれまでやってきていますから」と述べています。
アニメのアインズが原作と違って見えるのはなぜ?
丸山さんは「あれ以上線を増やしたらアニメの制作現場が死んじゃうので(笑)。so-binさんの絵を完全に動かすことは誰にもできないんです」と説明しています。
コミカライズはどこで連載されている?
深山フギン作画版は月刊コンプエース(KADOKAWA)で連載され、19巻で“一部完”となりました。2018年の対談当時は「幼女戦記」のコミカライズも同じ誌でした。続編『オーバーロード<新>世界編』(作画 Matsuki)はカドコミで連載されています。
まとめ
『オーバーロード』のアルベドは、Web版には存在しなかった人物です。コミックナタリーの対談で「幼女戦記」のカルロ・ゼンさんが「小説になったときにWeb版には存在しなかったアルベドが追加されたのが一番びっくりしました。あれは物語の潤滑油的な存在が欲しかったからですか?」と尋ね、作者の丸山くがねさんは「そんな感じ。元のままだと主人公が動かない。しょうがないな……みたいな流れで入れたんです」と答えました。丸山さんはアニメ第3期についても「3期の最終話は小説で言う9巻の終わりなので、それ以降は原作で読んでくれればうれしいです」と明言しています。第2期の企画を聞いたときは「「『オーバーロードII』は2クールやります」って言ってくれて、俺は笑っちゃったんだよね。無理だろうって」という反応だったとも述べています。2018年の対談では「あと5冊で終わらせる。最長5冊!」と語りました。
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出典
出典を示したうえで、必要な範囲だけを引用しています。本記事に画像は掲載していません。©丸山くがね・KADOKAWA刊/オーバーロード3製作委員会
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