※本記事は、公式サイト・出版社・ニュースサイトで公開されている情報をもとにまとめています。推測にあたる部分は、その旨を書いています。
『はたらく細胞』の「はたらく細胞 読む順番」は、本編の全6巻を1巻から順に。スピンオフが何本もありますが、本編を読み終えてからで構いません。そのうえで知っておくと面白いのが、この作品の出自です。作者の清水茜さんは医療系の勉強をしていません。そして細胞を擬人化するという発想は、本人のものですらありませんでした。「実はもともとは高校生の妹のアイデアなんですよ」。この記事では読む順番を先に片付けたうえで、作者が語った作品の作られ方を紹介します。
📘 この記事でわかること
- 本編全6巻とスピンオフ群の並べ方
- 「もともとは高校生の妹のアイデア」という成り立ち
- 作者が医学の専門知識を持っていないこと、そのうえでどう調べているか
- 白血球のカッコよさが作者には最初わからなかった、という話
- 体の持ち主が作中に出てこない理由
- 作者が語っていないことと、読者の解釈の境目
📈 数字で見るはたらく細胞
はたらく細胞の読む順番
🔑 本編を先に、スピンオフは後で
- 本編『はたらく細胞』全6巻を1巻から順に。1〜2話完結型なので途中から読んでも成立しますが、登場する細胞は巻を追うごとに増えていきます。2021年3月号で完結済みです。
- スピンオフは本編のあと。原作者の清水茜さんが監修を務めるスピンオフが講談社各誌で複数連載されました。吉田はるゆき『はたらく細菌』(全7巻)と『はたらく細菌Neo』(全1巻)、杉本萌『はたらかない細胞』(全5巻)などです。どれから読んでも構いません。
- 受賞作の読切『細胞の話』は公式コミックガイドで読める。2018年7月6日発売の『はたらく細胞 公式コミックガイド』に収録されています。本編を読んでから、原型を確かめる読み方がおすすめです。
企業や医療機関とのコラボによる特別編が多数あり、そのうち「乾癬編」は単行本第6巻に「特別編」として収録されています。すべてを追う必要はありません。
はたらく細胞の作者が語ったこと
作者の清水茜さんは、単行本2巻の発売時にコミックナタリーのインタビューを受けています。当時21歳、デビュー1年目でした。
作品の成り立ちからキャラクター設計まで、かなり率直に語られています。以下はそこからの引用です。
「もともとは高校生の妹のアイデア」
細胞を擬人化するという着想はどこから出てきたのか。この質問への答えが、この作品の出発点でした。
「実はもともとは高校生の妹のアイデアなんですよ。生物の授業中に描いたという細胞の擬人化イラストを見せてきて」
当時、清水さんはマンガの専門学校に在籍していて卒業課題の題材を探していました。「『あ、これはいいかも』と思いました。それでアイデアとキャラクターを貸してもらってお話を練ったという経緯です」。
そうして描いた読切が学校の審査会で出版社の編集者の目に留まり、少年シリウス新人賞への応募をすすめられ、大賞を受賞して連載に至りました。最初から連載を目指して作られた企画ではありません。清水さん自身「連載にまでなるとは思っていなかったのでびっくりしています」と語っています。
医学の専門知識はない。毎回調べている
医学の勉強をしていたのかと問われたときの答えです。この作品の正確さの印象からすると、意外に聞こえます。
「いや、そんなことはありません(笑)。なので毎回下調べに四苦八苦しています……」
手順も具体的です。「まずいろいろな身体の機能を本などで調べてノートに書き出し、それを題材に担当さんと一緒にお話の構成を決めます。打ち合わせの前と後だと全然変わりますね」。
担当編集によれば、清水さんのプロットは1ページマンガ風という珍しい形式でした。「知識をわかりやすくお話に落としこむ必要があるので」と清水さんは説明しています。毎話1〜3枚分ほど描いてから、打ち合わせを経てネームにするという流れです。
白血球のカッコよさが、作者にはわからなかった
この作品でもっとも人気のあるキャラクターのひとりが、白血球(好中球)の1146番です。ところが作者本人の当初の認識は違いました。
「実は最初、作者である私には、そのカッコよさがよくわからなかったんですよね。読み切り版ではストーリーの展開上、死んじゃってるんですよ」
担当編集に「白血球がカッコよかったから連載でメインにしましょう」と言われて主役級になったものの、「連載の1話を描いているときには魅力がよくわからないままでした」。
いまは何がカッコいいと思うかと問われて「一生懸命がんばってるところかな、と思います。与えられた仕事を完遂……できてるか微妙ですけど(笑)」。読切で一度死んだキャラクターが、編集の判断で連載の主役になった——という経緯です。
体の持ち主が出てこない理由
この作品には「この体の人」が一度も登場しません。それは意図的な選択でした。
「この身体の人自身は、出てこないですね。読者の方に「自分の身体かもしれない」と思って読んでもらうほうが楽しいかなと」
そのために「題材にする怪我や病気なども、年齢や性別が特定されないものを中心に描いています」とも述べています。
主人公が不在であることが、この作品の設計だということです。読んでいて自分の体のことのように感じるのは、そうなるように題材が選ばれているからでした。
モブに動きをつけるのは「趣味」
画面の奥にいる無名の細胞たちが、それぞれ何かをしている——この作品の密度を支えている要素です。理由を問われた答えが率直でした。
清水さんはまず、モブを入れた理由を「メインで活躍する細胞たちをヒーローと見たときに、逃げ惑う細胞だったり抵抗できない細胞だったりが画面にいたほうが物語も説得力も増す」と説明します。では、その一人ひとりに動作をつけているのは?
「いや、趣味ですね(笑)」
第8話の1コマ目には後ろで太極拳をしている細胞がいて、シリウスの付録イラストでは建物の中で引っ越しの準備をしている——これは細胞分裂の準備だそうです。
さらに「白血球の1146番さんには4989番さんというお友達がいて、過去編以外にはすべて出ています。皆勤賞です」とも明かしています。読み返すときの楽しみが、ここにかなり埋まっています。
はたらく細胞の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | はたらく細胞(英題:Cells at Work!) |
| 作者 | 清水茜。1994年生まれ、東京都出身 |
| 掲載誌 | 月刊少年シリウス(講談社) |
| 連載期間 | 2015年3月号〜2021年3月号 |
| 巻数 | 全6巻(シリウスKC)。1巻は2015年7月9日発売、6巻は2021年2月9日発売 |
| 累計部数 | シリーズ累計930万部突破(2022年5月時点) |
| 原型 | 第27回少年シリウス新人賞で大賞を受賞した読切『細胞の話』。清水のデビュー作でもある |
| 主な登場人物 | 赤血球「AE3803」、白血球(好中球)「U-1146」など。キャラクターは細胞名・細菌名で統一され、個体は識別番号で呼ばれる |
| スピンオフ | 原作者監修。吉田はるゆき『はたらく細菌』全7巻/同『はたらく細菌Neo』全1巻/杉本萌『はたらかない細胞』全5巻ほか |
| 公式ガイド | 『はたらく細胞 公式コミックガイド』2018年7月6日発売。受賞作『細胞の話』を収録 |
| 映像化 | 2018年からテレビアニメを制作。2024年には実写映画版が公開された |
はたらく細胞のキャラクターはどう作られているか
擬人化の作法には一貫したルールがあります。知っておくと、初登場のキャラクターを見ただけで役割が推測できるようになります。
以下はWikipedia「はたらく細胞」の作風の項に記載されている内容です。作者の発言として直接確認したものではないため、参考情報として扱ってください。
| 対象 | 扱い | 例 |
|---|---|---|
| 細胞 | 人間化する | 赤血球や白血球など |
| 病原体 | モンスター化・怪人化する | 細菌やウイルス |
| 見た目の由来 | 実際の細胞の姿をもとにする場合がある | 赤血球の帽子は実際の赤血球の形を模している |
| 名前の由来 | 音の響きからインスピレーションを得る場合もある | ステロイドは名前からアンドロイドを連想してロボットになった |
| 題材の決め方 | まず登場させる細胞を決め、そのあとで相対する菌や病気を決める | — |
| 名前 | 細胞名・細菌名で統一。個体固有の名前はない | 白血球は個体識別番号、赤血球やキラーT細胞は先輩・後輩・班長などの肩書で呼び合う |
| 原案 | 赤血球や白血球などのキャラ設定は、作者の妹が描いたものが元になっている | — |
インタビューでは、好酸球がピンクの服のツインテールである理由も説明されています。「好酸球は白血球の一種なんですが、画像を検索するとだいたいピンク色なんです。これは細胞自体がピンク色ということじゃなくて、細胞を使った実験の際の染色でピンクになるんですけど。それと核が分葉しているので、ツインテール」。
見た目に必ず理由がある。この設計があるから、医学を知らない読者でもキャラクターと知識が結びつきます。
作品の外へ広がった使われ方
この作品は、娯楽の枠を越えて使われてきました。医療や公衆衛生の側から参照される漫画は多くありません。
以下も同じくWikipediaに記載されている経緯です。参考情報として扱ってください。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2018年7月下旬 | 連日の猛暑で熱中症が社会問題になったことを受け、編集部が第6話「熱中症」を全ページ無料公開。作者とアニメ制作委員会の双方が快諾した |
| 2019年7月8日 | アニメがポカリスエットとコラボし、熱中症回の番外編「第11.5話 熱中症~もしもポカリスエットがあったら~」を公開(大塚製薬の発表) |
| 2019年10月下旬 | 乾癬パートナーズとのコラボで「はたらく細胞 乾癬編」を公開。この話は単行本第6巻に「特別編」として収録された |
| 2022年 | 「はたらく細胞 IBD特別編(潰瘍性大腸炎・クローン病)」を製薬企業とのコラボで公開 |
| 2024年 | 「はたらく細胞 好酸球性ぜん息 特別編」「はたらく免疫細胞図鑑」などのコラボ企画が続く |
| 2018年〜 | テレビアニメを制作。2024年には実写映画版も公開された |
作者が「医学や学術の部分ではちょっと……なマンガですが、監修の先生などいろいろな方に協力してもらって」と謙遜している一方で、実際には医療現場の啓発に使われる作品になりました。
本編を読むだけなら全6巻。そのあとスピンオフや特別編へ進むかは、興味の向く範囲で構いません。
まだ分かっていないこと(ここから先は推測です)
ここから先は、作者の発言では確認できていない内容です。筆者の読み取りとしてお読みください。
なぜこの作品は「勉強になる」と感じられるのか
作者自身は医学の専門家ではなく、「毎回下調べに四苦八苦しています」と語っています。それでもこの作品は知識が頭に残ると言われます。
手がかりは、キャラクターの見た目に必ず理由が与えられていることだと筆者は考えています。好酸球がピンクのツインテールなのは染色と核の形から。赤血球の帽子は細胞の形から。覚える対象が「名前」ではなく「見た目と理由のセット」になっているから残る、という読みです。ただしこれは解釈です。
スピンオフはどこまで読むべきか
原作者監修のスピンオフが複数あり、企業コラボの特別編も多数存在します。すべてを網羅する読み方を公式が示しているわけではありません。
筆者としては本編6巻で十分に完結していると考えています。スピンオフは本編を読み終えて「もっと読みたい」と思ったときの選択肢で、順番を気にする必要はありません。
続編の可能性はあるか
本編は2021年3月号で完結しました。その後もアニメ化や実写映画化、企業コラボの特別編は続いています。
本編の続編について作者や編集部が語った記録には、本記事の調査範囲でたどり着けませんでした。インタビュー当時、清水さんは「毎話毎話そのとき思いつく精一杯をマンガにぶつけているので、未定な部分が多いです」と語っており、もともと長期計画で動いていた作品ではなさそうです。
どこで読める?
紙のコミックスはシリウスKC(講談社)から本編全6巻が刊行されています。完結済みなので全巻セットでも手に入ります。
電子版は主要な電子書店で配信されています。日英対訳の『バイリンガル版デラックス はたらく細胞』も刊行されました。
スピンオフは講談社の各レーベルから出ています。『はたらく細菌』はKCデラックス なかよし、『はたらかない細胞』はシリウスKCです。
よくある質問
はたらく細胞の読む順番は?
本編『はたらく細胞』全6巻を1巻から順に読み、スピンオフはそのあとで構いません。1〜2話完結型なので、途中から読んでも成立します。
何巻で完結している?
全6巻です。1巻は2015年7月9日、6巻は2021年2月9日発売。連載は月刊少年シリウス2015年3月号から2021年3月号まででした。
作者は医学の専門家?
違います。清水茜さんは「いや、そんなことはありません(笑)。なので毎回下調べに四苦八苦しています」と語っています。身体の機能を本で調べ、担当編集と打ち合わせて話を組み立てる方法をとっていました。
細胞を擬人化する発想はどこから?
作者の妹のアイデアです。当時高校生だった妹が生物の授業中に描いた細胞の擬人化イラストを見せてきたのがきっかけで、専門学校の卒業制作としてまとめたのが原型になりました。
体の持ち主は出てくる?
出てきません。作者は「読者の方に『自分の身体かもしれない』と思って読んでもらうほうが楽しいかな」と説明し、題材にする怪我や病気も年齢や性別が特定されないものを中心にしていると述べています。
スピンオフは何がある?
原作者監修のもと、吉田はるゆき『はたらく細菌』全7巻と『はたらく細菌Neo』全1巻、杉本萌『はたらかない細胞』全5巻などが講談社各誌で連載されました。
まとめ
『はたらく細胞』の読む順番は、本編全6巻を1巻から。スピンオフは本編のあとで構いません。知っておくと面白いのは成り立ちのほうです。作者の清水茜さんは医療系の勉強をしておらず、細胞を擬人化するという発想も本人のものではありませんでした。「実はもともとは高校生の妹のアイデアなんですよ」。専門学校の卒業制作として描いた読切が編集者の目に留まり、新人賞を経て連載になりました。人気キャラクターの白血球についても「最初、作者である私には、そのカッコよさがよくわからなかった」と語っています。そして体の持ち主が登場しないのは、読者に「自分の身体かもしれない」と思って読んでほしいからでした。
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出典
本文の引用はいずれも出典付きで、範囲を絞っています。画像の掲載はありません。©清水茜/講談社
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