※本記事は、公式サイト・出版社・ニュースサイトで公開されている情報をもとにまとめています。推測にあたる部分は、その旨を書いています。
『進撃の巨人』の「進撃の巨人 考察」は、作中の伏線や結末の解釈をめぐるものがほとんどです。ただ、作者の諫山創さん自身が作品について語った言葉は、意外と読まれていません。この記事では、諫山さんが参加した2つの公開対談から、作品の根にあるものを取り出します。自分の「弱さ」についての発言、そして主人公が思い通りに動かなかったという告白。エレンの選択を考えるうえで、これらは無視できない材料です。
📘 この記事でわかること
- 諫山創さんが自身の「弱さ」について語った内容
- 「主人公のやることが決まっているあまり、コントロールできない」という証言
- この作品を「ファンタジーのようでいて現実」と評した人への同意
- 全34巻・アニメ4期という確認できるデータ
- 作者が断定していないことと、読者の解釈の境目
📈 数字で見る進撃の巨人
進撃の巨人を作者の言葉から読み解く3つの鍵
🔑 公開対談から分かること
- 作者は自分の「弱さ」を認めている。「こういう表現って、弱い人からじゃないと出てこない」と言われ、「僭越ながら僕もその弱さはわかります」と応じています。
- 主人公は思い通りに動かなかった。「主人公のやることが決まっているあまり、コントロールできないことは僕にもありました」と語っています。
- この作品は現実の話でもある。「ファンタジーの世界を描いているようで、それだけじゃない」という評に、作者は同意しています。
以下、鍵かっこ内は出典元での発言をそのまま引いたものです。リンク先で全文を確認できます。
進撃の巨人の作者・諫山創が語ったこと
以下は2つの対談からの引用です。ひとつは2017年、アニメSeason 2のエンディングテーマを担当した神聖かまってちゃんの・の子さんとの対談(音楽ナタリー)。もうひとつは2022年、『ヴィンランド・サガ』の幸村誠さんとの対談(コミックナタリー)です。
「学校に行きたくない精神」に共感していた
諫山さんはかねてから神聖かまってちゃんのファンを公言していて、Season 2のエンディングテーマ起用も本人の強い希望で実現したものでした。その理由を、こう説明しています。
「僕がかまってちゃんに共感したのは“学校に行きたくない精神”だったと思う」
この対談で、の子さんは諫山さんにこう言っています。「描かれた作品に触れたうえで『こういう表現って、弱い人からじゃないと出てこないよな』って思ったんです」「たぶん諫山さんも弱いんじゃないですか?」。
諫山さんの返答は「僭越ながら僕もその弱さはわかります」でした。作者自身が、この作品を弱さの側から書いていると認めていることになります。
同じ対談で諫山さんは、初対面のときに「わあ、会いたくねえ!」と言ってしまったエピソードも自ら明かし、「『好きな人に自分を見られたくない』っていう病気なんです」と説明しています。
主人公は、作者の思い通りには動かなかった
『ヴィンランド・サガ』の幸村誠さんが「自分はこういうふうに物語を進めたいと思っていても、誰もその通りに動いてくれない。そんなことありませんか?」と問いかけたのに対する答えです。
「主人公のやることが決まっているあまり、コントロールできないことは僕にもありましたね」
続けて「そういう人だっけ?と思いながら、描いていったことがあります」とも述べています。
『進撃の巨人』の終盤について、読者のあいだでは「エレンはなぜあの選択をしたのか」が長く議論されてきました。この発言は、その問いに直接答えるものではありません。ただ、作者がキャラクターを完全に統御していたわけではないと述べていることは、解釈の前提として知っておく価値があります。
作者の意図をすべて読み解けば答えが出る、という前提そのものが、この発言によって揺らぎます。
「ファンタジーのようでいて現実」という評に同意している
の子さんが作品の印象を語った場面です。作者はこれに短く同意しています。
「ここに巨人はいないけど、現実でも人がどんどんどんどん死んでいきますし」
の子さんは「暗いっていうか絶望」と作品を表現したうえで、「でも俺、これって現実だと思うんです。ファンタジーの世界を描いているようで、それだけじゃない」と述べました。諫山さんの返答は「そうですね」。
さらにの子さんは「音楽業界は希望にあふれたキラキラした作品を求められがちなので、それに対して俺は『ああ、居場所ねえな』みたいに感じてたんです。でも『進撃の巨人』を読んで、同じ戦場で創作してる人がいるんだなって勇気付けられた」と語っています。
この作品を巨大な謎解きとして読むこともできますが、作り手の側では「現実の話」として受け取られていたという事実は、読み方のひとつの手がかりになります。
ほかの作品の主人公について語った言葉
幸村誠さんとの対談で、諫山さんは『ヴィンランド・サガ』の主人公トルフィンについてこう語っています。自作について直接語ったものではありませんが、この作家が何に惹かれるかが表れています。
「破壊と構築を繰り返しながら進んでいく。奴隷編以降の常に罪を背負っているトルフィンは、人間味に溢れるので魅力的なんですよ」
「マンガで主人公が一番好きというのはあまりないんですけど、トルフィンは別格ですよね」という前置きのあとの発言です。
罪を背負ったまま進む主人公に惹かれる——この言葉を『進撃の巨人』の終盤と重ねて読みたくなりますが、諫山さん自身がそう結びつけたわけではありません。ここは読者の側の連想にとどめておくべき部分です。
作品の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 進撃の巨人 |
| 作者 | 諫山創(いさやま はじめ) |
| 掲載誌 | 別冊少年マガジン(講談社)/週刊少年マガジン(特別編) |
| 連載期間 | 2009年9月9日発売の2009年10月号(創刊号)〜2021年4月9日発売の2021年5月号 |
| 巻数 | 全34巻 |
| 受賞 | 2011年 第35回講談社漫画賞 少年部門 |
| アニメ | 第1期 全25話/第2期 全12話/第3期 全22話/第4期 全28話+完結編(前後編)/OAD 全8話 |
| 実写 | 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』/『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(監督・樋口真嗣。ソニーミュージック)。「紅蓮の弓矢」「自由の翼」はアニメの劇場版 |
| 作者の経歴 | 2006年に週刊少年マガジンのMGPで「進撃の巨人」が佳作受賞。2008年「orz」で新人漫画賞入選しデビュー |
作者が公開の場で語った記録
諫山さんが作品について語った公開の場は、それほど多くありません。本記事で使った2件を整理しておきます。
以下は本記事で引用した2つの対談の概要です。
| 時期 | 相手 | 内容 |
|---|---|---|
| 2017年 | の子(神聖かまってちゃん) | アニメSeason 2のエンディングテーマ起用を機にした対談。諫山さんの希望で実現したタイアップ。互いの「弱さ」をめぐる話が中心 |
| 2022年 | 幸村誠(『ヴィンランド・サガ』作者) | 『ヴィンランド・サガ』SEASON 2の放送決定を記念した初対面の対談。創作の進め方やキャラクターの動きについて語られた |
どちらも他作品や他アーティストを主役にした企画で、『進撃の巨人』そのものを掘り下げるインタビューではありません。それでも作者の考え方が出るのは、こうした横からの企画のほうだったりします。
アニメと原作の対応(確認できる範囲)
原作は2021年4月9日発売号で完結し、単行本は全34巻。アニメは4期に分かれて放送されました。
以下は放送記録で確認できる内容です。
| シリーズ | 話数 |
|---|---|
| 第1期 | 全25話+総集編 |
| 第2期 | 全12話 |
| 第3期 | 全22話 |
| 第4期 | 全28話+完結編(前後編) |
| OAD | 全8話。原作単行本の限定版などに付属。2022年4月27日に全8話収録のBlu-ray『進撃の巨人 OAD Archive』も発売(進撃の巨人ポータル) |
OADはもともと単行本の限定版などに付属した形で、通常の巻には収録されていません。いまは全8話をまとめたBlu-ray『進撃の巨人 OAD Archive』(2022年4月27日発売)でも見られます。
まだ分かっていないこと(ここから先は推測です)
ここから先は、作者の発言では確認できていない内容です。筆者の読み取りとしてお読みください。
「自由」というテーマをどう位置づけるか
この作品は「自由」を繰り返し扱います。ただし、作者がそのテーマについてまとまって語った一次情報には、本記事の調査範囲でたどり着けませんでした。
本記事で引用した「学校に行きたくない精神」への共感や、自身の「弱さ」への言及は、外に出たいという衝動と関わって見えます。けれども作者がそう結びつけたわけではないので、ここは読者それぞれの読み取りです。
エレンの選択をどう解釈するか
「主人公のやることが決まっているあまり、コントロールできない」という発言は、終盤の展開についての説明ではありません。創作一般の話として語られたものです。
したがって「作者もコントロールできなかったからああなった」と結論づけるのは行きすぎです。ただ、作者の意図を完全に復元すれば答えが出る、という前提は成り立たないという程度には、この発言を踏まえておく意味があると思います。
作者本人が結末について語った一次情報が見つかれば、この記事に追記します。
どこで読める?
紙のコミックスは講談社コミックスから全34巻が発売されています。完結済みなので全巻セットでも手に入ります。
電子版は主要な電子書店で配信されています。アニメは各配信サービスで視聴できます。
よくある質問
進撃の巨人の作者は自分の作品をどう語っている?
自身の「弱さ」について、対談で「僭越ながら僕もその弱さはわかります」と認めています。また神聖かまってちゃんへの共感を「“学校に行きたくない精神”だったと思う」と説明しています。
作者はキャラクターを思い通りに動かしていた?
そうとは言えません。「主人公のやることが決まっているあまり、コントロールできないことは僕にもありましたね。そういう人だっけ?と思いながら、描いていったことがあります」と語っています。
この作品はファンタジー?
対談では「ファンタジーの世界を描いているようで、それだけじゃない」という評に作者が同意しています。巨人という設定を除けば現実の話だ、という受け取り方です。
原作は全何巻?
全34巻です。「別冊少年マガジン」2009年10月号(創刊号)から2021年5月号まで、約11年7か月の連載でした。
アニメは何期まである?
第1期(全25話)・第2期(全12話)・第3期(全22話)・第4期(全28話+完結編前後編)の4期です。ほかにOADが全8話あります。
OADはどこで見られる?
もともとは原作単行本の限定版などに付属していました。通常版の単行本には入っていません。全8話を収録したBlu-ray『進撃の巨人 OAD Archive』(2022年4月27日発売)でも見られます(進撃の巨人ポータル)。
まとめ
『進撃の巨人』の考察は伏線や結末の解釈に集中しがちですが、作者・諫山創さんが公開の場で語った言葉も手がかりになります。自身の「弱さ」を認め、神聖かまってちゃんへの共感を「“学校に行きたくない精神”」と説明していること。「主人公のやることが決まっているあまり、コントロールできないことは僕にもありました」と述べていること。そして「ファンタジーの世界を描いているようで、それだけじゃない」という評に同意していること。作者の意図を完全に復元すれば答えが出る、という前提そのものを、これらの発言は揺らがせます。
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出典
引用元は末尾の出典欄に記載しました。引用は必要な範囲にとどめ、作品の画像は使用していません。©諫山創/講談社
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