※本記事は、公式サイト・出版社・ニュースサイトで公開されている情報をもとにまとめています。推測にあたる部分は、その旨を書いています。
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は2008年から2013年にかけて電撃文庫で刊行され、全12巻で完結しました。ただしこの作品には、完結後に書かれた公式のifルートがあります。小説では『あやせif』『黒猫if』に続き、2021年9月10日にシリーズ第三弾『加奈子if』も出て3本になりました(KADOKAWA)。このうち『あやせif』と『黒猫if』は、どちらも「もし京介が別のヒロインと結ばれていたら」を作者自身が書いたもので、両方ともコミカライズされています。この記事では、その2本が何なのかを整理し、あわせて企画の出発点についても見ていきます。
📘 この記事でわかること
- 公式のifルート(小説は3本)と、コミカライズされた2本
- 『あやせif』と『黒猫if』の違い
- それぞれのコミカライズの掲載先と作画
- 本編と2つのifの関係
- この作品が企画された経緯
- 累計発行部数とランキング実績
📈 数字で見る俺の妹がこんなに可愛いわけがない
ifルートとは何なのか
🔑 本編とは別の結末を、作者自身が書いたもの
- 『あやせif』は、妹・桐乃の親友である新垣あやせと京介が結ばれるルートです。コミカライズは渡会けいじさんが担当し、KADOKAWAのWebマンガサイト・少年エースplusで連載されました。1巻は2021年3月10日発売。
- 『黒猫if』は、黒猫こと五更瑠璃と京介が結ばれるルートです。コミカライズは森あいりさんが担当し、月刊少年エース2021年9月号(2021年7月26日発売)で連載が始まりました。
- どちらも小説が先にあり、それをもとに漫画化されています。原作は伏見つかささん。本編の続きではなく、途中から別の道に分かれた話です。
ゲーム版でifルートを体験した人は多いですが、小説として書かれた公式のifが3本あることは意外に知られていません。
公表されている内容
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は、垢抜けた勝ち気な妹が隠していた「実はオタク」という秘密を兄が知ってしまうことから始まるコメディです。著者は伏見つかささん、イラストはかんざきひろさん。
2つのifルートについて、コミックナタリーの記事から確認します。
『あやせif』は嫌われていた相手と結ばれる話
2021年3月10日、『あやせif』のコミカライズ1巻が発売されました。そのときの記事に内容が書かれています。
「「ドスケベのセクハラ野郎」とあやせから毛嫌いされていた京介が、桐乃について相談を受けるうちに信頼を獲得し、徐々にあやせとの仲を深めていく。」
出発点が「毛嫌いされている」ところにあるのがこのifの特徴です。しかも関係が動くきっかけは、桐乃についての相談。妹の話をしているうちに距離が縮まるという筋道になっています。
本編でも新垣あやせは桐乃の親友として登場し、京介との関係はかなり険悪なところから始まります。そこを起点にして別の結末まで持っていくのが『あやせif』です。
コミカライズは渡会けいじさんが担当し、少年エースplus(ComicWalker)で連載されました。1巻は2021年3月10日にKADOKAWAから発売されています。
『黒猫if』は“運命”に立ち向かう話
2021年7月26日、『黒猫if』のコミカライズが月刊少年エースで始まりました。第1話の内容が記事で紹介されています。
「第1話では、黒猫が京介に何かを伝えようとするたびに失敗し、自分を邪魔する“運命”に立ち向かう姿を描く。」
「自分を邪魔する“運命”」という言い方が示唆的です。本編で黒猫と京介が結ばれなかったという事実を、作品の中で「運命」として扱っている構図に見えます。
つまり『黒猫if』は、単に別の相手を選んだ話ではありません。本編の結末そのものを乗り越える対象として置いている話になります。ifものとしてはかなり踏み込んだ設計です。
コミカライズは森あいりさんが担当。月刊少年エース2021年9月号から連載され、単行本1巻は2022年3月10日に発売されました。
俺の妹がこんなに可愛いわけがないの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(略称:おれいも) |
| 著者 | 伏見つかさ |
| イラスト | かんざきひろ |
| レーベル | 電撃文庫(アスキー・メディアワークス/KADOKAWA) |
| 刊行期間 | 2008年8月〜2013年6月。全12巻 |
| 内容 | 垢抜けて勝ち気な妹が隠していた「実はオタク」という秘密を知った兄が、不仲だった妹に振り回されるホームコメディ |
| コミカライズ(本編) | いけださくら。『電撃G’s magazine』2009年3月号から連載 |
| ドラマCD | 2010年3月発売。原作小説の内容にオリジナルエピソードを加えたもの |
| TVアニメ第1期 | 2010年10月〜12月放送 |
| TVアニメ第2期 | 2013年4月〜6月放送 |
| ゲーム | 2011年1月にPSP用ソフト。2012年5月に続編『ポータブルが続くわけがない』 |
| ifルート(小説) | 『あやせif』『黒猫if』『加奈子if』(2021年9月10日発売)の3本 |
| ifルート(漫画) | 『あやせif』=渡会けいじ/少年エースplus。『黒猫if』=森あいり/月刊少年エース |
| 累計部数 | 電子版を含め520万部突破(2021年3月時点) |
本編と2つのifを並べる
どれがどれなのか分かりにくいので、一覧にします。
コミックナタリーの記事および各作品の刊行情報から整理しました。
| 作品 | 結ばれる相手 | コミカライズの作画・掲載先 |
|---|---|---|
| 本編(全12巻) | —(本編の結末は本編で確認してください) | いけださくら/電撃G’s magazine(2009年3月号から) |
| あやせif | 新垣あやせ(桐乃の親友) | 渡会けいじ/少年エースplus。1巻は2021年3月10日発売 |
| 黒猫if | 五更瑠璃(黒猫) | 森あいり/月刊少年エース。2021年9月号(7月26日発売)連載開始、1巻は2022年3月10日 |
同じ原作から3系統の漫画が出ていることになります。本編のコミカライズ、『あやせif』、『黒猫if』。それぞれ作画も掲載先も違います。
掲載先が分かれている点も見どころです。『あやせif』はWebマンガサイトの少年エースplus、『黒猫if』は紙の月刊少年エース。同じレーベルの中で媒体を分けて走らせていた形です。
なお『あやせif』のコミカライズ1巻が出たのが2021年3月、『黒猫if』の連載が始まったのが2021年7月です。この時期にifシリーズを続けて展開していたことが分かります。
参考:Wikipediaに記されている企画の経緯
日本語版Wikipediaの「概要」「制作背景」節には、この作品の出発点についての記述があります。原典を直接確認できていないため、参考として扱ってください。
以下はWikipediaの記述をもとにした整理で、筆者が一次資料にあたって確認したものではありません。確定した事実として扱わないでください。
| 項目 | Wikipediaの記述(一次資料未確認) |
|---|---|
| 企画時の位置づけ | 決して大ヒットを狙った作品ではなく、伏見つかさはこれが人生で最後に出版する作品になる覚悟で書いたとしている |
| 発売前の扱い | 電撃文庫での扱いも小さかったという |
| 話題になったきっかけ | 発売後間もなく、実在の個人ニュースサイトが作中に登場することがインターネット上で大きな話題になった |
| 企画の出自 | 2007年冬頃まで準備が進められていた『ねこシス』の企画が一時没となった際、その構想の一部を引き継ぐ形で企画された |
| 題材の選定 | 編集者・三木一馬の提案により「超常現象のない普通の日常」「勝気な女の子」「オタク」という題材が選ばれた |
| ヒロイン像の変更 | 伏見は当初「普通の妹っぽいキャラクター」を想定していたが、三木から「藤沢とおる先生が描く漫画に出てくるようなギャル」という要望が出た。伏見は『GTO』を読んで桐乃にそのイメージを反映させた |
| 作者と妹 | 伏見自身の家族には妹がおらず、桐乃はあくまで「ファンタジーの妹」だとしている |
| 4人の作品 | 伏見は本作を、自分と編集者2人(三木一馬・小原一哲)、イラスト担当のかんざきひろを加えた合計4人による作品だと述べている |
| 執筆の姿勢 | 毎回、次の巻が人生最後の作品になる可能性を念頭に置き、常にクライマックスのつもりで書いてきたという |
| 影響を受けた作品 | 貴志祐介の小説『青の炎』と、古橋秀之のライトノベル『超妹大戦シスマゲドン』 |
| ランキング | 『このライトノベルがすごい!』作品部門で2011年版8位、2013年版5位、2014年版9位 |
| アニメ化前提という噂 | 公式Twitterが否定している。事前の電撃文庫内での注目度は低かったとされる |
この記述が正しければ、この作品は「売れるつもりのない本」として始まっていたことになります。520万部という結果とのギャップが大きい話です。
特に目を引くのはヒロイン像が編集者の一言で変わったという部分です。「普通の妹っぽいキャラクター」から「『GTO』に出てくるようなギャル」へ。桐乃というキャラクターの成り立ちが、作者ひとりの発想ではなかったことになります。
伏見さんが本作を「合計4人による作品」と呼んでいるのも、この経緯と噛み合います。ただし繰り返しになりますが、この節は筆者が原典を確認できていません。
参考:Wikipediaに記されている作品の意図
同じWikipediaの「作風とテーマ」節には、この作品が何を狙っていたかについての記述があります。
こちらもWikipediaの記述をもとにした整理で、一次資料は未確認です。
| 項目 | Wikipediaの記述(一次資料未確認) |
|---|---|
| 兄妹関係の描き方 | 京介と桐乃の関係は現実的な兄妹関係を志向して描かれ、従来の「妹萌え」作品との差別化が意図されている |
| 作中での指摘 | 語り手の京介が、現実の妹である桐乃と、桐乃が熱中する「妹萌え」作品の妹キャラクターとの乖離を指摘する場面がある |
| 桐乃の評価の割れ | 人気が高いと同時に、憎たらしくて鬱陶しい妹としても描かれており、原作読者とアニメからの視聴者で好悪の評価が分かれたという |
| 作者の受け取り方 | 伏見は、人気があると同時に批判的な評価も多いのは注目の表れであり、好ましい結果に転じることができる評価だと解釈している |
| 編集者の説明 | 三木は、嫌いという感情は好きの反対ではなく相手に対する関心の一種だとし、作中に描かれているのは普段は嫌い合いつつも時折相手を気遣う兄妹の絆だとしている |
| 扱う題材の範囲 | 従来より深いおたく文化、インターネットの事物、敬遠されがちな話題にも踏み込むことが意図され、実在の作品名・団体名・ウェブサイトやネットスラングが頻繁に登場する |
| 既存評価の見直し | ネット上のおたく文化では否定的に見られていたケータイ小説を擁護する場面などがあり、既存の社会的評価を覆して魅力を再確認する試みが意図されている |
| 表現上の実験 | 文中に顔文字を出しルビを振る表現が批判された際、次巻では複数行のアスキーアートにルビを振る表現を入れたという |
この記述が正しければ、「妹萌え」作品を軸にしながら、その様式を内側から突く構造が最初から意図されていたことになります。作中で語り手自身が乖離を指摘する、という仕掛けです。
顔文字への批判に対してアスキーアートで返したというくだりも、この作品の性格をよく表しています。ただしこれも原典の確認は取れていません。
ifルートが3本書かれたことも、この延長線上にあると考えられます。1つの結末で閉じるのではなく、別の道も公式に見せる。ここは次の節で筆者の見方として書きます。
ここから先は筆者の見方です
ここから先は出典の内容をもとにした筆者の解釈です。作者や公式の説明ではありません。
なぜifを3本も書いたのか
本編は全12巻で完結しています。そのうえで『あやせif』『黒猫if』『加奈子if』が書かれました。この判断についての作者の説明には、本記事の調査範囲でたどり着けませんでした。
筆者の見方では、この作品がもともとゲーム的な選択の構造を持っていたことが関係していそうです。作中の軸にあるのは「妹萌え」のアダルトゲームで、PSP用のゲーム版も2作出ています。分岐という形式が作品の内側にあります。
『黒猫if』の第1話が「自分を邪魔する“運命”に立ち向かう」と紹介されているのも示唆的です。本編の結末を運命として扱い、それに抗う話として書いている。ifを言い訳ではなく物語の主題にしているように見えます。
どこから読めばいいのか
筆者としては、本編12巻を先に読むことをおすすめします。ifは本編の結末を前提にした話だからです。特に『黒猫if』は、本編がどう終わったかを知っていないと「運命」という言葉が効きません。
アニメから入る場合は、第1期(2010年10月〜12月)と第2期(2013年4月〜6月)の順で問題ありません。
ifのコミカライズだけを先に読むのは、可能ではありますが損だと思います。ここは好みの問題でもあります。
今も読まれている理由は何か
2021年3月時点で累計520万部。完結から8年経った時点でこの数字が公表され、同じ時期にifのコミカライズが2本動いていました。
筆者の見方では、作品が扱った題材そのものが古びにくい形をしていたのだと思います。趣味を隠す、家族に知られる、それをどう扱うか。ネットスラングや当時の固有名詞は古くなりますが、この骨格は残ります。
ただしこれは筆者の解釈です。ランキング実績(『このライトノベルがすごい!』で2011年版8位、2013年版5位、2014年版9位)が示すのは当時の評価で、現在の読まれ方を直接説明するものではありません。
どこで読める?
本編小説は電撃文庫から全12巻。2008年8月から2013年6月にかけて刊行されました。
『あやせif』のコミカライズは少年エースplus(ComicWalker)で連載され、1巻は2021年3月10日にKADOKAWAから発売されています。
『黒猫if』のコミカライズは月刊少年エースで2021年9月号から連載され、1巻は2022年3月10日発売です。
TVアニメは第1期(2010年)と第2期(2013年)があります。配信先は時期によって変わるため、視聴前に確認してください。
よくある質問
俺の妹がこんなに可愛いわけがないは何巻まで?
本編は全12巻です。2008年8月から2013年6月まで電撃文庫で刊行されました。
ifルートとは何?
本編とは別の相手と結ばれる展開を、作者の伏見つかささん自身が書いた作品です。小説は『あやせif』『黒猫if』『加奈子if』の3本があります。
あやせifの内容は?
桐乃の親友・新垣あやせと京介が結ばれるルートです。「ドスケベのセクハラ野郎」と毛嫌いされていた京介が、桐乃についての相談を受けるうちに信頼を得ていきます。
黒猫ifの内容は?
黒猫こと五更瑠璃と京介が結ばれるルートです。コミカライズ第1話では、黒猫が京介に何かを伝えようとするたびに失敗し、自分を邪魔する“運命”に立ち向かう姿が描かれます。
ifのコミカライズは誰が描いている?
『あやせif』は渡会けいじさん(少年エースplus)、『黒猫if』は森あいりさん(月刊少年エース)です。
アニメは何期ある?
2期です。第1期が2010年10月〜12月、第2期が2013年4月〜6月に放送されました。
ゲーム版もある?
あります。2011年1月にPSP用ソフトが発売され、2012年5月に続編『俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブルが続くわけがない』が出ています。
累計部数は?
電子版を含めたシリーズ累計で520万部を突破しています(2021年3月時点)。
まとめ
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は2008年8月から2013年6月まで電撃文庫で刊行され、全12巻で完結しました。そのうえで、この作品には作者の伏見つかささん自身が書いた公式のifルートが3本(『加奈子if』は2021年9月10日発売)あります。このうちコミカライズされた『あやせif』は桐乃の親友・新垣あやせと京介が結ばれるルートで、コミカライズは渡会けいじさんが担当し少年エースplusで連載、1巻は2021年3月10日発売です。『黒猫if』は黒猫こと五更瑠璃と結ばれるルートで、コミカライズは森あいりさんが担当し月刊少年エース2021年9月号から連載、1巻は2022年3月10日発売。コミカライズ第1話は、黒猫が京介に何かを伝えようとするたびに失敗し、自分を邪魔する“運命”に立ち向かう姿を描くと紹介されています。本編のコミカライズはいけださくらさんが担当しており、同じ原作から3系統の漫画が出ていることになります。累計部数は電子版を含めて520万部を突破しています(2021年3月時点)。
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出典
- コミックナタリー「俺の妹がこんなに可愛いわけがない あやせif」コミカライズ版1巻が発売(2021年3月10日)
- コミックナタリー「俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫if」コミカライズ版がエースで開始(2021年7月26日)
- Wikipedia 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(概要・制作背景・作風とテーマの節。一次資料は未確認)
引用元は末尾の出典欄に記載しました。引用は必要な範囲にとどめ、作品の画像は使用していません。©伏見つかさ・かんざきひろ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス
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