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僕のヒーローアカデミア 考察|作者は「30巻ちょっとで終わりたい」と言っていた。全42巻になった

ヒロアカ All's Justice 都市ヒーロー戦場イメージ(AI生成)

※本記事は、公式サイト・出版社・ニュースサイトで公開されている情報をもとにまとめています。推測にあたる部分は、その旨を書いています。

僕のヒーローアカデミアの考察として、いちばん面白い記録から入ります。2018年、19巻が出た時点のインタビューで、作者の堀越耕平さんはこう答えていました——「自分の中で『これくらいで終わりたい』っていう巻数は30巻ちょっとくらいなんですよ」。そして続けて、ラストから逆算したら「30巻だと無理だな」ってなりました(笑)と。実際の完結は2024年8月、全42巻でした。この記事では、連載途中の作者の発言と完結した結果を突き合わせて整理します。

📘 この記事でわかること

  • 「30巻ちょっと」が全42巻になった経緯
  • 作者がヒーロー像を「定義したくない」と言う理由
  • インターン編を描いていて気分が参ってしまった話
  • 作者が「僕のヒーローです」と呼んだキャラクター
  • 11巻と16巻に入っている作者自身の実体験
  • 連載の最終データと、完結後の展開

📈 数字で見る僕のヒーローアカデミア

全42巻
週刊少年ジャンプ 2014年32号〜2024年8月5日発売の36・37合併号。約10年
30巻ちょっと
2018年の取材時に作者が「これくらいで終わりたい」と語っていた巻数
1億部
単行本のシリーズ世界累計発行部数(2024年4月突破)
全17ページ
最終話のページ数。センターカラーの扉はポスターとしても使える仕様だった

なぜ「30巻ちょっと」が42巻になったのか

🔑 作者の発言から辿れること

  1. 短くまとめたいという意向が先にあった。堀越さんはSUGOI JAPANの贈賞式でも「なるべく短くまとめたいと思っている」と述べていました。
  2. 逆算したら足りなかった。2018年の取材で「少し前にあとどれくらいエピソードが必要かラストから逆算したら、『30巻だと無理だな』ってなりました(笑)」と明かしています。
  3. その時点で「折り返し」だった。同じ取材で「今やっているエピソードはすべてラストに向けて意味のある内容になっていて、最終回を意識したものになっているので、折り返しには来ています」と述べています。19巻の時点で折り返し——結果の42巻とほぼ一致します。

以下の引用はすべて、2018年7月4日公開のコミックナタリーによる堀越耕平インタビュー(19巻発売時)からです。連載途中の発言である点にご注意ください。

僕のヒーローアカデミアの作者が語ったこと

この作品は2014年から2024年まで、週刊少年ジャンプで約10年続きました。以下は折り返し地点にあたる2018年、19巻が出たタイミングでの発言です。

完結した現在から読み返すと、答え合わせのようになっている箇所がいくつもあります。

「30巻ちょっとくらい」と言っていた

物語全体の何割を描いたのかを問われた場面です。この作品はもともと短くまとめる意向で始まっていました。

「今後も連載を続けさせてもらえることを前提としたときに、自分の中で「これくらいで終わりたい」っていう巻数は30巻ちょっとくらいなんですよ」
— 堀越耕平(原作)(出典:コミックナタリー「僕のヒーローアカデミア」特集 堀越耕平インタビュー(2018年7月4日) 3ページ目)

そして続けて——「そのつもりだったんですが、少し前にあとどれくらいエピソードが必要かラストから逆算したら、『30巻だと無理だな』ってなりました(笑)」。

実際の完結は全42巻。当初の想定より10巻以上増えました。ただし「今やっているエピソードはすべてラストに向けて意味のある内容になっていて、最終回を意識したものになっている」とも述べており、延びたのは計画の崩壊ではなく見積もりの修正だったことになります。

「僕の中ではあまり定義したくないんです」

作品の主題を問われて、堀越さんは「ヒーローってなんなんだろう」ということを考えて描きたいと答えます。ただしその答えを出すつもりはない、とも言います。

「「僕のヒーローアカデミア」が始まった頃はインタビューでも「ヒーローとはこういう存在であると思う」と答えていたんですけど、最近はもっといろいろな捉え方があるよなと思うようになったんです」
— 堀越耕平(原作)(出典:コミックナタリー「僕のヒーローアカデミア」特集 堀越耕平インタビュー(2018年7月4日) 2ページ目)

考えが変わったきっかけも具体的です。「連載が進んでいくうちに、いろんな価値観でそれぞれのキャラクターが動き始めたんです。例えばデクにとっては『人を救けるのがヒーロー』で、勝己にとっては『勝利こそがヒーロー』みたいな」。

「こいつらのことを全部描いていかなきゃいけないとなったときに、そのヒーロー像をひとまとめにしちゃいけないなって思い始めた」。主題が「問い」のままであることは、作者の判断です。

インターン編は「僕が途中で『ダメだ』となっちゃって」

この作品で最長のエピソードとなった「インターン編」。長編に挑戦してみたいという動機で始めたものでしたが、描く側には別の負荷がかかりました。

「長編に対するキツさということではなく、あの話に対するキツさです。内容を暗くしすぎてしまったので、途中で気分が参ってきてしまって」
— 堀越耕平(原作)(出典:コミックナタリー「僕のヒーローアカデミア」特集 堀越耕平インタビュー(2018年7月4日))

「ほかのマンガで読んだり映画で観たりする分には、暗い話はすごい好きなんですが。バッドエンドも好きですし、ホラーとかスプラッタ系も平気なので。ただそれを自分で描くっていうのはやっぱり難しかったです。僕は描いている内容で気持ちが上下してしまうタイプなんだなって」。

なお長編に挑んだ理由は2つ挙げられています。「今までの『ヒロアカ』って、長くても単行本2巻かからないくらいのエピソードが断続的に続いていて。でも例えば『ONE PIECE』とかって、長編エピソードがドン、ドンって続くじゃないですか」。そしてもう1つが「最終的に描きたいことに必要になってくるキャラクターを登場させておく」ことでした。

「ファットガムは僕のヒーローです」

暗いエピソードを描くあいだ、どうやってテンションを保っていたのかを問われた答えです。

「ファットガムと切島の2人が敵〈ヴィラン〉と戦闘するシーンは、熱い気持ちを筆に乗せられたと思っていて。あの辺りからちょっとずつ、「インターン編」に対してしっかり描けているなと自分の中でも考えられるようになりました。ファットガムは僕のヒーローです」
— 堀越耕平(原作)(出典:コミックナタリー「僕のヒーローアカデミア」特集 堀越耕平インタビュー(2018年7月4日))

その前段で「話の中で気持ちいい展開を描けると、回復してくる気がします」「『インターン編』で言えばファットガムっていうキャラクターにめちゃくちゃ救われていました」と述べています。

ヒーローを描く漫画の作者が、自分の描いたキャラクターに救われて「僕のヒーロー」と呼ぶ——この作品の主題と制作の実態が重なっている瞬間です。

「このコマを描きながら泣いてました」

読者から寄せられた「堀越先生ご自身の体験が基になった心の動きや台詞などはありますか?」という質問への答えです。

「母がジャングルジムの中に入って「助けてレオー」って叫んで、レオ役の僕がそれを助けるっていう遊びが印象に残っていて。その思い出を描いています。読んでいる人にとってはなんでもないコマですけど、僕はこのコマを描きながら泣いてました」
— 堀越耕平(原作)(出典:コミックナタリー「僕のヒーローアカデミア」特集 堀越耕平インタビュー(2018年7月4日) 3ページ目)

11巻にある、幼いデクが母親とごっこ遊びをするシーンの話です。堀越さん自身が当時のデクと同じくらいの年齢のとき、公園で母親と「ジャングル大帝」ごっこをしていたという実体験がもとになっています。

もうひとつ挙げられているのが16巻の天喰の転校エピソードです。堀越さんは小学校から中学校に上がるとき学区外の中学に通うことになり、「独りで机に突っ伏しているような悲しい時代があって(笑)」。そこへ「君はそんな暗い人間じゃないはずだ」と言ってクラスの輪に入れてくれた子がいたそうです。「そういうふうにキャラに自分の思い出を入れると、すごい気持ちが乗ってくるんです」。

「外部のことを考えるとプレッシャーで潰れちゃう」

アニメ化・ゲーム化・映画化と展開が広がる中で、ハングリーさをどう維持しているのかを問われた答えです。

「一時は「アニメが始まるんだからもっとがんばらなきゃ」って思ったりもしたんですが、外部のことを考えるとプレッシャーで潰れちゃうので、今はマンガの内容を第一にしています」
— 堀越耕平(原作)(出典:コミックナタリー「僕のヒーローアカデミア」特集 堀越耕平インタビュー(2018年7月4日) 2ページ目)

その前に「やっぱり一番は本誌のアンケートです。常に上を狙いたいですし、下がりたくない。『僕のヒーローアカデミア』って結構アンケートが上下して、ダメなときは下がっちゃったりもするんですよ」と述べています。

また初代担当の小池さんを今も意識していると明かしています。「僕の2代目担当で『僕のヒーローアカデミア』の初代担当の小池さんなら何て言うかな、これキレるかもなって考えたり」。ホークスというキャラクターを小池さんが褒めてくれたと聞いて「心の底からうれしかった」そうです。

僕のヒーローアカデミアの基本情報

僕のヒーローアカデミア 公式サイトのキービジュアル
僕のヒーローアカデミア 公式サイトより(出典:www.shonenjump.com)
項目内容
作品名僕のヒーローアカデミア(略称「ヒロアカ」)
作者堀越耕平。1986年愛知県出身
掲載誌週刊少年ジャンプ(集英社)
連載期間2014年32号〜2024年8月5日発売の36・37合併号。約10年
巻数全42巻。最終42巻は描き下ろしを加えて2024年12月発売
累計発行部数単行本のシリーズ世界累計1億部突破(2024年4月)
最終話全17ページ。センターカラーの扉はポスターとしても使える仕様。綴じ込み付録に堀越のメッセージとデクの描き下ろしイラストのカードが付属した
作者の経歴2006年「ヌケガラ」で第72回手塚賞佳作。2010年「逢魔ヶ刻動物園」で週刊少年ジャンプ連載デビュー。2012年「戦星のバルジ」。本作が3作目の連載
完結後の刊行ファイナルファンブックが2025年5月2日、初の画集(公式イラスト集)が2025年6月4日に発売(少年ジャンプ公式)。2025年夏に大規模原画展
スピンオフ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』全15巻。アニメ化もされている
アニメ2016年放送開始。FINAL SEASONのオープニングはポルノグラフィティ、エンディングはBUMP OF CHICKEN
アニメ10周年2026年4月3日

2018年の発言と、実際の結果

連載途中の取材は、完結後に読み返すと答え合わせになります。当たったものと外れたものを並べます。

✅ 作品・公式で確認できること
左列は2018年7月のインタビューでの発言、右列は公表されている結果です。
2018年の発言実際はどうなったか
「これくらいで終わりたい」っていう巻数は30巻ちょっとくらい全42巻。10巻以上増えた
ラストから逆算したら「30巻だと無理だな」ってなった見積もりの修正が正しかったことになる
「折り返しには来ています」(19巻時点)42巻の折り返しは21巻。ほぼ一致している
「役者は揃ってきていて、ここからキャラたちが動き始めていきます」インターン編で登場したキャラクターが終盤に関わった
障子は「ちゃんとエピソードも用意している」―(本記事では個別の回の確認はしていません)
「ヒーロー像をひとまとめにしちゃいけない」主題は問いのまま最後まで保たれた

19巻で折り返しという自己申告が、結果としてほぼ正確だったのがこの表のいちばんの見どころです。巻数の見積もりは外れましたが、構成上の位置把握は合っていました。

なお堀越さんはキャラクターごとに年表を作っていると述べています。「オールマイトにはアメリカ留学という経歴があったので、そこの部分を膨らませた」という形で、劇場版の設定にも使われました。

連載終了までの流れ

完結は予告されたうえで迎えられました。順を追うと、終盤の進め方が分かります。

✅ 作品・公式で確認できること
公表されている内容です。
時期できごと
2014年32号週刊少年ジャンプで連載開始
2016年TVアニメ放送開始
2018年7月4日19巻発売。同日にコミックナタリーの堀越耕平インタビューが公開される
2018年8月3日劇場アニメ「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄〜」公開
2024年4月単行本のシリーズ世界累計発行部数が1億部を突破
2024年6月24日残り5話で完結すること、最終回が8月5日発売号に載ることが告知される
2024年7月29日あきやま陽光が描く劇場版につながる読切がジャンプに掲載される
2024年8月5日週刊少年ジャンプ36・37合併号で完結。同日、堀越のコメントがニューヨーク・タイムズに掲載され、世界規模のキャラクター人気投票も開始された
2024年12月最終42巻が描き下ろしを加えて発売
2025年5月/6月/夏ファイナルファンブック/初の画集/大規模原画展

「残り5話」を事前に告知してから終えているのが特徴です。打ち切りでも急な幕引きでもなく、終わりを共有したうえでの完結でした。

完結日に堀越さんのコメントがニューヨーク・タイムズに載ったことは、この作品の届いた範囲を示しています。

まだ分かっていないこと(ここから先は推測です)

❓ まだ分かっていないこと(以下は推測です)
ここから先は、作り手の発言では確認できていない内容です。筆者の読み取りとしてお読みください。
【ヒロアカアニメ10周年記念】JUMP MV /『僕のヒーローアカデミア』(堀越耕平)×『I』| BUMP OF CHICKEN(ジャンプチャンネル)

巻数が増えた12巻分は何だったのか

「30巻ちょっと」から「全42巻」への差は10巻以上です。どのエピソードが想定外に伸びたのかを作者が説明した資料には、本記事の調査範囲でたどり着けませんでした。

手がかりは、インターン編について「最終的に描きたいことに必要になってくるキャラクターを登場させておく」と述べている点です。終盤に必要な人数が、当初の見積もりより多かったのではないかと筆者は読みます。

「主要キャラは着地点を作ってあってそこに向けて進めている」とも述べており、着地点を用意したキャラクターが増えれば、そのぶん尺が必要になります。ただしこれは解釈です。

「ヒーローを定義しない」という選択の帰結

作者はヒーロー像を定義したくないと述べ、デクと勝己で答えが違うことを例に挙げました。この方針が最終的にどう着地したかは、読んだ人それぞれの評価に委ねられています。

筆者の見立てでは、この方針があったから10年もったのだと思います。1つの答えを提示してしまえば、そこが終点になります。問いのままにしておけば、キャラクターの数だけ話が続けられます。

同時にそれは、終わらせにくさとも表裏です。30巻の予定が42巻になった一因がここにある、という読み方もできます。これは推測です。

どこから読むか

全42巻で完結しています。1巻から読み通せるのが最大の利点です。

筆者は途中で止まった人にこそ、インターン編を越えるところまでをすすめます。作者自身が「内容を暗くしすぎてしまった」と認めている部分で、ここで離れた読者は少なくないはずです。

その先で「ファットガムは僕のヒーローです」と作者が言った戦闘が来ます。作り手が自分で救われたと言う場面なので、読み手にも効く可能性が高い——これは筆者の期待でもあります。

どこで読める?

コミックスは集英社のジャンプ コミックスから全42巻。最終42巻は2024年12月発売で、描き下ろしが加えられています。

ファイナルファンブック(2025年5月2日発売)と初の画集(2025年6月4日発売)も刊行されています(当初の予定から発売日が決め直されました。少年ジャンプ公式)。

スピンオフ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』は全15巻。アニメも配信されています。配信先は時期によって変わるため確認してください。

よくある質問

僕のヒーローアカデミアは全何巻?

全42巻です。連載は週刊少年ジャンプ2014年32号から2024年8月5日発売の36・37合併号まで、約10年でした。

作者はもっと短く終わらせたかったの?

2018年の取材で「自分の中で『これくらいで終わりたい』っていう巻数は30巻ちょっとくらい」と述べ、続けてラストから逆算したら「30巻だと無理だな」ってなったと明かしています。

作品の主題は?

堀越耕平さんは「ヒーローってなんなんだろう」ということを考えて描きたいと述べたうえで、「僕の中ではあまり定義したくないんです」と語っています。デクと勝己でヒーロー像が違うことを例に挙げています。

作者の実体験が入っている場面はある?

11巻の幼いデクが母親とごっこ遊びをするシーンは、堀越さんが実際に母親と「ジャングル大帝」ごっこをしていた思い出がもとになっています。16巻の天喰の転校エピソードも実体験だと述べています。

累計発行部数は?

単行本のシリーズ世界累計発行部数が2024年4月に1億部を突破しました。

スピンオフはある?

『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』が全15巻で刊行され、アニメ化もされています。

まとめ

『僕のヒーローアカデミア』は2014年から2024年まで、週刊少年ジャンプで約10年・全42巻続きました。ところが2018年、19巻が出た時点のインタビューで作者の堀越耕平さんは「自分の中で『これくらいで終わりたい』っていう巻数は30巻ちょっとくらい」と述べ、続けてラストから逆算したら「30巻だと無理だな」ってなったと明かしています。同じ取材で「折り返しには来ています」とも語っており、42巻の折り返しは21巻なので、位置の把握はほぼ正確でした。作者はこの作品の主題を「ヒーローってなんなんだろう」と設定しながら「僕の中ではあまり定義したくない」と述べ、デクと勝己でヒーロー像が違うことを理由に挙げています。インターン編については「内容を暗くしすぎてしまった」と認め、その中でファットガムというキャラクターに救われたと語り「ファットガムは僕のヒーローです」と述べました。

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出典

本記事で使った画像は公式に公開されたものです。出所は各キャプションに、文章の引用元は末尾の出典欄に記載しています。©堀越耕平/集英社

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